鉄骨の断面検定における断面性能
鉄骨部材の断面性能は、ユーザー設定により断面欠損を考慮して算定します注1)。組立品として寸法を直接入力した場合は、ロールHのr部分は無視して算定します。規格品の鋼材を選択した場合は、メーカーの公称値を採用します。
H形鋼材
断面係数(Z)
組立品(BH)として入力した場合の断面係数(Z)の算定は以下によります。なお、下式では断面欠損を考慮しておりません。また、組立品(BH)のS造柱部材において、フランジとウェブの材料強度が異なる場合は、ウェブの規準強度(F値)により置換して算定します。
■強軸側の断面係数
$Z = \frac{I}{H/2}$
$Z$:強軸側の断面係数(cm3)
$I$:断面2次モーメント(cm4)
・曲げ設計でウェブを考慮しない場合
$I = I_f$
・曲げ設計でウェブを考慮する場合
$I = I_f+I_w$
$I_f = \frac{B \cdot H^3-B \cdot (H-2 \cdot t_f)^3}{12}$
$I_w = \frac{t_w \cdot (H-2 \cdot t_f)^3}{12} \times (F_w/F_f)$
$H$:鉄骨はりせい(cm)
$B$:フランジ幅(cm)
$t_w$:ウェブ厚(cm)
$t_f$:フランジ厚(cm)
$F_w$:ウェブの規準強度(N/mm2)
$F_f$:フランジの規準強度(N/mm2)
■弱軸側の断面係数
$Z = \frac{I}{B/2}$
$Z$:弱軸側の断面係数(cm3)
$I$:断面2次モーメント(cm4)
$I = I_f+I_w$
$I_f = 2 \cdot \frac{t_f \cdot B^3}{12}$
$I_w = \frac{(H-2 \cdot t_f) \cdot {t_w}^3}{12} \times (F_w/F_f)$
注1) メインメニュー「設計・計算条件」→「断面算定条件」→「S造」参照。
継手部の断面欠損の考慮
鉄骨造梁の断面性能において、ボルト穴による継手部の断面欠損を欠損率(%)としてフランジ・ウェブの各断面に対して評価します。
$I{_f}’ = \frac{B \cdot H^3-B \cdot (H-2 \cdot t_f)^3}{12} \cdot (1-\beta_f/100)$
$I{_w}’ = \frac{t_w \cdot (H-2 \cdot t_f)^3}{12} \cdot (1-\beta_f/100)$
$I_{f’}$:継手部の欠損を考慮したフランジの断面2次モーメント
$β_f$:継手部のフランジの欠損率(%)
$I_{w’}$:継手部の欠損を考慮したウェブの断面2次モーメント
$β_w$:継手部のウェブの欠損率(%)
c) スカラップによる断面欠損の考慮
端部の断面性能において、スカラップによる欠損をウェブ断面に対する欠損率(%)として評価します。
$I{_w’’} = \frac{t_w \cdot ( (H-2 \cdot t_f)(1-\alpha_w/100) ) ^3}{12}$
$I_{w’’}$:スカラップの欠損を考慮したウェブの断面2次モーメント
$α_w$:スカラップによる欠損率(%)
角形鋼管
断面係数(Z)
組立品として入力した場合、断面係数(Z)の断面係数の算定は以下によります。
$Z = \frac{I}{H/2}$
$I_f = \frac{B \cdot H^3-(B-2 \cdot t_1)(H-2 \cdot t_2)^3}{12}$
せん断変形用断面積(AS)
$A_s = 2 \cdot t_1 \cdot (H-2 \cdot t_2)$
※上図の着色部分がせん断変形用断面積にあたります。
鋼管
断面係数(Z)
$Z = \frac{I}{D/2}$
$I = \frac{\pi}{64} \cdot ( D^4-(D-2 \cdot t)^4 )$
※上図の着色部分がせん断変形用断面積にあたります。
せん断変形用断面積($A_S$)
鋼管のせん断変形用断面積($A_S$)は全断面積の1/2とします。
$A_s = \frac{\pi \cdot t \cdot (D-t)}{2}$



