薄層要素法オプションのサブセクション

薄層要素法オプション 操作編のサブセクション

概要

機能構成

薄層要素法オプションでは以下のことが行えます。

  • 薄層要素法により、地盤の相互作用ばねを計算する
  • 地盤の相互作用ばねを考慮した、建物-杭-地盤の一体解析を行う

上記の解析を行うには、RESP-F3Tが必要です。
上記で計算した解析結果をRESP-Dの解析結果として取り込み、断面検定を行うことが可能です。
主なフローは以下になります。

flowchart TD modeling(杭、地盤、基礎版モデル入力) --> export(RESP-F3Tファイルエクスポート) export --> run-tlem(薄層要素法計算実行、相互作用ばね算出) run-tlem --> edit-ftc(相互作用ばねを考慮した解析用の編集) edit-ftc --> run-stress-analysis(相互作用ばねを考慮した解析実行) run-stress-analysis --> edit-dz-pile-condition(解析データパスをRESP-Dに設定) edit-dz-pile-condition --> run-resp-d(RESP-Dで解析実行もしくは結果読み込み)

入力操作手順

入力全般

入力全般は、杭応答変位法オプションに順じます。
以下では、薄層要素法オプションにおける入力の注意点について記載します。

部材配置

基礎版の分割

周辺の大梁分割数を指定します。対角の梁と分割数が一致するように指定する必要があります。

梁の分割を細かくしすぎると解が求まらないので注意が必要です。

構造スラブ符号でマットスラブの符号を定義し、床のプロパティで配置します。 「面要素内部分割」の設定により、基礎版を格子状に分割します。

水平地盤特性の設定

計算に必要なパラメータは以下の通りです。

  • 層厚
  • 単位体積重量
  • ポアソン比
  • せん断弾性係数
  • 減衰定数

RESP-Dの入力では、地盤剛性はE0として入力します。 Gに変換するときには、E=2(1+ν)・G (ν: ポアソン比)の式を用いて変換します。 γ、νの代わりにVsが入力されている場合、Vsを優先します。
これにより、杭周面水平地盤ばねで用いる剛性はE0として入力し、相互作用ばねの計算に用いる剛性はVsとして入力することも可能です。

なお、層厚は0.1m単位までの入力とする必要があります。 0.01m 単位で入力すると、適切にモデル化されない可能性があります。

杭基礎計算条件

共通

  • 杭体解析モデルの分割ピッチは、杭径と同等以上のピッチを指定する必要があります。

薄層要素法オプション設定

項目説明
杭周面ばねチェックを入れた場合、動的相互作用ばねに対して直列で杭周面地盤ばねを考慮します。現状では水平地盤ばねのみ考慮されます。
基礎底板摩擦ばね底面摩擦ばねを考慮すると、基礎版底面位置において動的相互作用ばねに対して摩擦ばねを直列で接続します。
構造芯から相互作用ばね作用深さまでのオフセットオフセット距離を考慮すると、基礎版底面位置に対する動的相互作用ばねを考慮できます。実際の相互作用ばねの接続位置は、構造芯の位置に作用させます。
薄層要素法結果を読み込むRESP-F3Tで計算した薄層要素法を考慮した解析結果を読み込みます。RESP-Dで計算される各荷重ケースの解析結果の代わりに、読み込んだ解析結果の応力を採用します。RESP-Dで作成したモデルに対し、モデルの架構形状や要素名などを変更しないことが前提となります。

モデルの概略図は以下となります。

ファイルエクスポート

ファイルエクスポート

ファイルメニュー → データ変換出力 → RESP-F3T(薄層要素法沈下解析) からエクスポートできます。

エクスポートされるftcファイルは以下のようになります。

  • <ユーザー指定保存名称>.ftc
  • <ユーザー指定保存名称>-WithBuilding.ftc

ファイルエクスポート後のフロー

薄層要素法オプションを使用して、RESP-Dで断面検定を行う場合のフローを以下に示します。

flowchart TD modeling(杭、地盤、基礎版モデル入力) --> export(RESP-F3Tファイルエクスポート) export --> run-tlem(薄層要素法計算実行、相互作用ばね算出) run-tlem --> edit-ftc(相互作用ばねを考慮した解析用の編集) edit-ftc --> run-stress-analysis(相互作用ばねを考慮した解析実行) run-stress-analysis --> edit-dz-pile-condition(解析データパスをRESP-Dに設定) edit-dz-pile-condition --> run-resp-d(RESP-Dで解析実行もしくは結果読み込み)

相互作用ばね計算用ファイル <ユーザー指定保存名称>.ftc

  • 薄層要素法による地盤ばね計算
  • 計算を行うと、相互作用マトリクス情報を *.07 ファイルに出力します。

相互作用ばね考慮応力解析用ファイル <ユーザー指定保存名称>-WithBuilding.ftc

  • 相互作用ばねを考慮した静的解析
  • *.07 ファイルから相互作用マトリクス情報を読み込み、剛性マトリクスに加算します。

  • エクスポート時には以下の荷重が設定されています。
ケース番号荷重最終ステップ備考
1長期固定荷重1線形解析
2地震荷重時X+1線形解析, 指定により地盤変位考慮
3地震荷重時X-1線形解析, 指定により地盤変位考慮
4地震荷重時Y+1線形解析, 指定により地盤変位考慮
5地震荷重時Y-1線形解析, 指定により地盤変位考慮
6終局時X+荷重増分解析条件による荷重増分解析, 指定により地盤変位考慮
7終局時X-荷重増分解析条件による荷重増分解析, 指定により地盤変位考慮
8終局時Y+荷重増分解析条件による荷重増分解析, 指定により地盤変位考慮
9終局時Y-荷重増分解析条件による荷重増分解析, 指定により地盤変位考慮

ftcファイルの編集について

エクスポートされたファイルでは、以下の注意点があります。

  • 地震荷重、終局時について、既定では相互作用ばねを考慮した長期荷重に対する初期応力を考慮していません。摩擦ばねは初期応力を導入しないと適切に静止摩擦が評価されません。
    • 相互作用ばねを考慮した長期応力解析を行うと、<ユーザー指定ファイル名>-WithBuilding_InitialStress_DeadLoad.ftc ファイルに長期応力解析結果による応力が初期応力として出力されます。Import コマンドで読み込むことで初期応力を用いることができます。
  • 長期荷重は固定荷重のみの荷重として設定されています。必要に応じて変更してください。

RESP-Dへの結果取り込み

RESP-D の 杭基礎計算条件 → 薄層要素法(オプション) タブより、「薄層要素法結果読み込み」の設定を行います。 ファイル名、解析ケース番号、ステップ番号を読み込みたいケースやステップに合わせて適切に設定する必要があります。
設定した状態でRESP-Dの解析実行を行うと、設定した結果を読み込んで計算書などの出力が行えます。

薄層要素法オプション 計算編のサブセクション

計算詳細

解析モデル

基礎版底面位置と構造芯のオフセット

パイルド・ラフトの検討を行う場合、最下層構造芯と底板下面の深度差が大きくなるため、相互作用ばねの計算を構造芯ではなく底板下面位置で算出することが出来ます。
ただしその場合でも、応力評価を芯の位置で行うために、薄層要素法で算出した相互作用ばね自体は構造芯位置のレベルにモデル化した節点に対して接続します。

地盤・杭の自動分割

杭は計算条件指定に従い分割され、地層は0.1mピッチで分割されます。

半無限地盤の設定

入力した地盤情報を元に、半無限地盤を自動設定します。

円盤加振点とリング加振節点の設定

杭周はリング加振、杭先端およびラフト底面は円盤加振として計算します。